池袋駅39番出口の謎を追え!

[1974-1994]国鉄の破綻と再生

読者の方からお便りをいただきました。

いつも池袋駅を利用していますが、変な位置に通路があることに気づきました。実際に行ってみたら人通りは少ないし、通路の先には39番出口があるのですが、中途半端なところで地上に出ています。

西武線の近くにあるので西武がゴリ押しして作らせたのでしょうか。それとも通路の方向にまっすぐ進むとサンシャインがありますが、そっちの方まで伸ばす予定だったのでしょうか。この通路がいつ、何の目的で作られたのか気になるのですが、何か知っていますか。

駅の中にある変な通路、気になりますね! 楽しいですね! ということで、調べてみました。

まず、この通路がどこの事を指しているのか確認しておきましょう。池袋駅の構内図です。

池袋駅の東南側、突き出たように伸びる地下道がその通路です。通路には39~41番出口が設置されています。確かに役割がよく分からない通路ですね。新宿駅のサブナードみたいな地下街なのでしょうか。我々は早速現地を取材してきました。

1枚目の写真が構内図の赤い(1)の場所です。左手側は西武池袋駅への玄関口でもあるので、壁もサインもきれいに仕上げられています。我々の目指す通路は奥の階段を下りた先にあります。階段を境に雰囲気が全く違いますね。

降りた先が2枚目の写真で、構内図で(2)の場所です。ここでいきなりの鉄柵!この通路の営業時間は7時から21時までで、21時になると柵で封じられるようです。

その先に進むとがらんとした一本道です。現在設置されている出口は39と40の2か所ですが、ビルの建て替えで閉鎖されたのか、それとも設置予定のままつながらなかったのか、連絡口の準備工事の痕跡があったりと、なかなかにいい雰囲気を醸し出している空間です。

 

通路を奥まで進むと、構内図(3)の地点に39番出口があり、上がると交差点のファミマの横に出てきます。

南池袋公園のちょっと手前ですね。このあたりは…飲食店街なのでしょうか。池袋東口の中でも訪れた記憶がまったくないエリアです。

地図には通路のと併行に黒い線が引いてあります。これは有楽町線の線路です。ということは、この通路は有楽町線のトンネルに沿って作られていることが分かりました。ということは、有楽町線と一緒に造られたものである可能性が高そうです。では早速有楽町線建設史を見てみましょう。

「各駅の構造」の442ページにありました。

9 池袋駅(8号線,13号線)

8号線池袋駅の位置には,西武,東武,国鉄各線を連絡する跨線橋があり,この跨線橋の利用目的をそのまま地下に移し,しかも自由通路とするため,有効通路幅を約22mとした。国鉄,東武,西武各線は,この有楽町線のオープンコンコースに面してラッチを設置してあるため,どの線との連絡も最短距離で行うことを可能とした。また,丸ノ内線コンコースとの連絡は,西口側通路下に東武線と並行した都市計画決定の地下通路を利用することにした。また,有楽町線方向の地下1階の通路の延長は,西口方でホーム端から約220m,東口方で約205mまで伸ばし,利用者の利便を図った。

なるほど。元々南側には跨線橋があり、これを地下に移して自由通路としたと書いてあります。

1960年代の航空写真(国土地理院の地理院地図)を見ると、西口と東口を白い線が結んでいることが分かります。これが跨線橋ですね。ここから西武、国鉄、東武の乗り換えができたようです。

しかし駅構内しかも狭い跨線橋では自由な東西の移動は困難です。そこで地下鉄建設を機に、各鉄道事業者と豊島区は有楽町線上に地下自由通路を設置し、乗り換え利便性の向上と、池袋南口の回遊性向上を図ることにしたのです。

先ほどの航空写真に池袋駅周辺の主要施設を重ねたものです。有楽町線の建設と前後して、ちょうど池袋駅西口南側の開発が進んでおり、これら施設の利便性向上のためにも地下通路での連絡は必須だったことが分かります。こうして作られたのが、1a出口から39出口まで、全長約650mの自由通路だったのです。

西口側の通路は副都心線開通以降特に利用者が増えている印象を受けますが、今回取り上げた東口側39番出口方面の通路は建設時の想定ほど使われていないようです。しかし、池袋駅東西の通り道として再認識すれば、確かにもっといろいろな使い道がありそうな気がしてきますね。

こんな感じで、東京の地下鉄について、気になる通路、気になる構造があればお便りお待ちしております。