それは地下鉄が「M」ではなくて「S」だった頃のはなし―誰でも描けるSマーク講座!

営団地下鉄車両部史『60年のあゆみ』より
[1946-1956]

営団地下鉄がなくなって14年が過ぎたのに今更ですが、本日は帝都高速度交通営団の誕生日です。交通営団は1941年7月4日に設立され、2004年3月31日を以て63年の歴史に幕を下ろしました。なので、7月4日は営団時代は「創立記念日」として休日だったそうです。

私が東京メトロに入社したのは民営化から2年後の2006年ですが、2004年に大学3年生だったので、就職活動の最初から東京メトロだった第一世代でした(ひとつ上の世代はエントリー時は営団地下鉄)。そんな昔話を書きながら、今20代の人は「営団地下鉄」という言葉の響きに(逆に)懐かしさを感じないのではないかと、ふと思いました。

営団地下鉄といえば、駅の出入口や電車に使われていた「Sマーク」です。今つかわれている「Mマーク(正式にはハートMといいます)」はシンボルマークというよくわからない位置づけですが、Sマークは帝都高速度交通営団の「紋章」に定められていました。

このマークが初めて登場したのは、池袋・御茶ノ水間に戦後初の地下鉄が開業するより1カ月半ほど前、1953年12月1日のことでした。この時、新線の路線名を「丸ノ内線」、既設線の路線名を「銀座線」と呼称することと合わせて、営団が宣伝広告や電車車体に使用する「徽章」として発表されました。ただし、この時点では今で言うところの「コミュニケーションマーク」としての位置づけであり、帝都高速度交通営団の紋章は別のマークが定められていました。

半円はトンネル、真ん中はレールの断面図を図案化したものですが、いかにも前時代的であか抜けないデザインですね。東京地下鉄道の社章のほうがずっと洗練されていますね。シンプルながらスピード感のあるSマークは、丸ノ内線の赤い電車とともに新時代の地下鉄のシンボルとなり、営団職員、利用者両方から親しまれるようになったので、1960年3月1日に正式に営団の紋章とすることに決定しました。

Sマークには地下鉄道(SUBWAY)の頭文字のほか、交通機関にとって最も重要な「安全(SAFETY)、正確(SECURITY)、迅速(SPEED)」の意味が込められています。Sマークに込められた理念を「4S」といいますが、たまに「SUBWAY、SARETY、SECURITY、SPEED」で4Sと誤解している人がいます。マークが出来たときは「3S」と呼ばれていたのが、1972年に「SERVICE」を追加して「4S」としたものです。建設第一の時代から、旅客サービスを重視する時代への変化は「3Sから4Sへ」などとも言われたようです。

ところでSマークには「正しい書き方」が決められているのをご存知でしょうか。

  1. Oは円の中心点
  2. 幅A-K、M-NおよびL-Bは外円直径の17分の3
  3. A、B、C、D、E、F、G、Hは外円上における8等分点
  4. 幅P-Q、R-Sは外円直径の17分の1
  5. Iは外円上8等分点Cからの接線とN・Pを結ぶ線との交点
  6. Jは外円上8等分点Dからの接線とM・Rを結ぶ線との交点

うーん、よく分かりませんね。

もっとざっくりと、でもそれっぽいSマークを書きたい! という人のために簡単な書き方を伝授しましょう。

  1. それっぽい二重円を書いて、対角線上に補助線を入れておきます
  2. 二重円と同じ幅で、横に2本の線を引きましょう
  3. 右上と左下に、二重円の1/3の幅(目分量)の切込みを入れます
  4. 対角線に引いた補助線と垂直に左下、右上に線を引きます
  5. 交点を繋ぐとそれっぽい「Sマーク」が完成します!
  6. 本物と重ねてみると、ちょっと二重円が太かったですね

これであなたもSマーク書き放題! 歴史に消えてゆく交通営団を一緒に語り継いでいきましょう。