あのとき、被災路線はどれくらいで運転再開したか

[1995-2011]テロと災害の時代

6月18日に発生した大阪北部地震では一時大阪周辺の全ての鉄道が運転を見合わせ、特にJR線の運転再開が深夜までずれ込んだこともあり、関西圏の都市機能が大きく混乱しました。大都市圏の都市交通のほとんどを鉄道が担う日本では、事故や災害で鉄道がストップすると多くの人が出勤や帰宅できなくなります。朝ラッシュ時間帯に人身事故で1時間運転が止まるだけで通勤は大混乱ですし、地震や台風による帰宅難民の発生は大きな社会問題となりました。

あの事件、事故そして災害で運転を見合わせた路線は、運転再開までどれくらいの時間がかかったのか、ちょっと振り返ってみました。

地震編

朝日新聞 src=”http://www.asahicom.jp/travel/aviation/images/TKY201108220291.jpg” alt=”関連画像” width=”450″ height=”299″ /> 東日本大震災で津波の被害を受けた山田線津軽石駅(写真:)[/ca

まずは地震です。都市部に大きな被害を与えた地震を中心に選んでみました。これは地震の規模と設備の損傷次第なのでケースバイケースとしか言いようがありません。全線で復旧した日付でカウントしているので、地震当日あるいは翌日に一部区間で運転を再開している路線もありますのでご注意ください。

発生日時 全線復旧 影響期間
関東大震災 東海道線 1923年9月1日 1925年3月12日 558日
東京市電 1923年9月1日 1924年9月16日 380日
城東電気軌道 1923年9月1日 同年10月9日 38日
阪神・淡路大震災 神戸高速鉄道(大開駅) 1995年1月17日 1996年1月17日 365日
阪急神戸線 1995年1月17日 同年6月12日 146日
山陽新幹線 1995年1月17日 同年4月8日 81日
中越地震 上越新幹線 2004年10月23日 同年12月28日 66日
千葉県北部地震 地下鉄東西線 2005年7月23日 16:35 同日 20:25 3時間50分
東日本大震災 常磐線 2011年3月11日 2020年春(予定) 9年(見込み)
仙石線 2011年3月11日 2015年5月30日 1541日
仙台空港鉄道 2011年3月11日 同年10月1日 204日
東北新幹線 2011年3月11日 同年4月7日 27日
山手線 2011年3月11日 14:46 同年3月12日 8:35 17時間49分
銀座線 2011年3月11日 14:46 同日 20:40 5時間56分
熊本地震 九州新幹線 2016年4月14日 同年4月27日 13日
大阪北部地震 大阪モノレール 2017年6月18日 7:58 同年6月23日 5日
JR京都線 2017年6月18日 7:58 同年6月19日 9:14 25時間16分
御堂筋線 2017年6月18日 7:58 同日 21:40 13時間42分

関東大震災の東海道線(当時は熱海線)は、根府川駅で発生した大規模な土砂崩れによって列車と駅舎・ホームもろとも飲み込まれ、また付近の橋梁が崩壊し、トンネルが埋没するなど大きな被害が発生したため、復旧に長い時間を要することになりました。阪神大震災でも、駅舎や橋脚など構造物に致命的な被害を受けた路線は復旧までに長い日時を要しています。東日本大震災で津波の被害を受けた路線では、復旧にあたり線路を高台に移設した区間もありました。

都市部で震度5強から震度6弱レベルの地震が発生した場合は、これも路線の条件によりますが、運転再開まで4~20時間ほど要することを覚悟したほうがいいでしょう。

事故編

文藝春秋続いて事故編です。90年代以降の大きな事故を中心に比較しています。ここでも2つの傾向が見てとれます。

続いて事故編です。90年代以降の大きな事故を中心に比較しています。ここでも2つの傾向が見てとれます。

発生日時 全線復旧 影響期間
東西線荒川橋梁脱線転覆事故 1978年2月28日 21:20 同年3月3日 55時間40分
信楽高原鉄道列車衝突事故 1991年5月14日 同年12月8日 208日
中央本線大月駅列車衝突事故 1997年10月12日 20:02 同年10月14日 7:00 35時間
日比谷線列車脱線衝突事故 2000年3月8日 9:01 同年3月9日 15時間
京福電鉄越前本線列車衝突事故 2001年6月24日 2003年10月19日 847日
土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故 2005年3月2日 同年4月7日 36日
福知山線列車脱線転覆事故 2005年4月25日 同年6月19日 55日
羽越線特急脱線事故 2005年12月25日 2006年1月19日 25日
石勝線特急脱線火災事故 2011年5月27日 同年5月30日 3日
東横線元住吉駅列車追突事故 2014年2月15日 0:30 同年2月16日 1日
京浜東北線川崎駅列車脱線転覆事故 2014年2月23日 1:30 同年2月24日 1日

都市部の鉄道は大きな事故でも1日で復旧させていることが分かります。他方、地方で安全管理体制が大きく問われる事故が発生すると、半年から年単位で運行が止まることもあります。都市型通勤路線でありながら、復旧までに比較的長期間を要した事例としては、福知山線脱線事故くらいでしょう。それだけ大きな衝撃を与えた事故だったということです。

その他

最後にレアケースとして、戦争やテロ、その他の理由による運転見合わせです。

発生日時 全線復旧 影響期間
銀座空襲 銀座線 1945年1月27日 同年3月10日 41日
東京大空襲 山手線 1945年3月10日 同年3月14日 4日
山手大空襲 山手線 1945年5月25日 深夜 同年5月28日 14:00 62時間
原爆投下 広島電鉄 1945年8月6日 1948年12月16日 1228日
首都圏国電暴動 宇都宮線 1973年4月24日 20:30 同年4月25日 10:00 13時間30分
国鉄スト権スト 山手線など 1975年11月25日 同年12月4日 9日間
国電同時多発ゲリラ事件 総武線(浅草橋駅) 1985年11月29日 1985年11月30日 1日
地下鉄サリン事件 日比谷線 1995年3月20日 同年3月21日 1日

さすが戦時体制というべきか、空襲被害の運転再開が思いのほか早いことに気づくでしょう。これは全線復旧でカウントしていますが、一部区間の運転再開は当日中に行われているケースもあります。1月27日の銀座線の空爆被害はトンネルに損傷をうけたため時間がかかっていますが、被爆箇所を避けた区間運転は早くも2月1日から行われています。

1月27日、土曜日。銀座は曇り、ところにより500㎏爆弾

広島電鉄は原爆投下の3日後、8月9日から一部区間で運転を再開しており、国有鉄道の救援列車も8日頃から運転されていたと言われています。ただ全面的な復旧には3年以上の月日を要しています。それでも十分早いと思いますが。

1945年以降は幸い戦争による運転見合わせはありませんが、暴動やテロ、あるいは乗客の暴動で列車が止まったことがありました。

2011年3月11日以前、地下鉄は一度だけ臨時の終夜運転をしたことがある

今となっては考えられないのは、国鉄がストで9日間も止まったことでしょう。ごく一部の路線・列車を除き、日本中の国鉄線が一切動かなかったのです。戦争中も列車は動き続けていた(キリッ)どころの騒ぎではありません。

もうひとつは、地下鉄サリン事件の運転再開の早さです。化学兵器を用いた大規模なテロで、当時も世界に衝撃を与えた大ニュースだったわけですが、今では考えられないほど早く復旧しています。一番被害の大きかった日比谷線こそ終日運転を見合わせていますが、同じく標的とされた丸ノ内線、千代田線は被害車両を留置線に移動させ、霞ケ関駅を通過扱いとすることですぐに運転再開しています。

全列車に警察官を添乗させる措置をとっていますが、テロに屈しない姿勢を示したということではなく、そこまでの危機感がなかったということなのかもしれません。