JR御茶ノ水駅の二股関係―乗換駅のややこしい話

営業

ツイッターで路線図の謎が話題になっていました。これは使ってる人からしても基準がよく分からない話だと思いますが、こうした細かい点に鉄道会社の苦労が詰まっていたりするわけです。

御茶ノ水駅を利用したことがある人ならご存知の通り、中央線の御茶ノ水駅と丸ノ内線の御茶ノ水駅は川の反対岸にあって離れているので、ここで乗り換えをする人は多くないでしょう。対する千代田線の新御茶ノ水駅は聖橋口からは比較的簡単に乗り換えすることができます。しかし路線図ではJR中央線と丸ノ内線の御茶ノ水駅がグループ化され、千代田線新御茶ノ水駅は都営新宿線小川町駅、丸ノ内線淡路町駅とグループになっていて、JR中央線御茶ノ水駅とは離れて描かれています。

また引用したツイートの方が気づいたように、中央線の車内アナウンスを聞いてみると「地下鉄千代田線・地下鉄丸ノ内線は乗り換え」と言っています。中央線からすると丸ノ内線御茶ノ水駅、千代田線新御茶ノ水駅ともに乗換駅の扱いになっているのです。実は千代田線側も新御茶ノ水駅はJRとの乗換駅であると案内をしています。どうしてこんなややこしい関係が生まれてしまったのでしょうか。誰が二股をかけているのでしょう!

結論からいうとこの3駅は次のような関係にあります(乗換駅の定義に踏み込むと話がややこしくなるので、ここではそのように案内されているという程度にとどめます)。

・丸ノ内線御茶ノ水駅とJR中央線御茶ノ水駅は乗換駅である
・千代田線新御茶ノ水駅とJR中央線御茶ノ水駅も乗換駅である
・丸ノ内線御茶ノ水駅と千代田線新御茶ノ水駅は乗換駅ではない

千代田線新御茶ノ水駅から丸ノ内線に乗り換える場合は、都営新宿線小川町駅構内を介してつながっている淡路町駅が乗換駅として指定されています。新御茶ノ水駅とJR御茶ノ水駅が乗換駅だからといって、丸ノ内線御茶ノ水駅と千代田線新御茶ノ水駅を、JR御茶ノ水駅を介して繋げて描いてしまうと、

・丸ノ内線御茶ノ水駅と千代田線新御茶ノ水駅が乗換駅のように誤認される
・丸ノ内線御茶ノ水駅と淡路町駅が同じ駅ということになってしまう

ことから切り離して描かれています。でも、千代田線から中央・総武線に乗り換えたい人がこれを見て「新御茶ノ水駅では乗り換えできないのか…どうしよう」と思ってしまったら路線図として問題なのではないかと心配になります。

実は駅構内の案内板に掲出されている「メトロネットワーク」など、丸ノ内線御茶ノ水駅とJR御茶ノ水駅、千代田線新御茶ノ水とJR御茶ノ水駅がそれぞれつながっている路線図も一部にあります。そうした路線図では、JR御茶ノ水駅を真ん中で点線で区切り、丸ノ内線御茶ノ水駅と千代田線新御茶ノ水がつながらないようになっています。

こうした描き方は新宿駅でも同様に用いられています。新宿の字の下に点線が入っていますね。これは新宿駅と交差する路線のうち大江戸線を切り離すための処理です。新宿も以下のようなややこしい関係があるからです。

※以下の「丸ノ内線新宿駅」が「JR新宿駅」と誤って表記されていたため修正しました(2/28 15:00)

・丸ノ内線新宿駅とJR新宿駅は乗換駅である
・JR新宿駅と都営新宿線・大江戸線新宿駅は乗換駅である
・丸ノ内線新宿駅と都営新宿線・大江戸線新宿駅は乗換駅ではない

丸ノ内線新宿駅と大江戸線の乗換駅は新宿西口駅であるため、大江戸線の新宿西口駅と新宿駅が繋がってしまわないように、このような表記をしているのです。ただこうしたルールは完全に予防線のようなもので、利用者には一切意図は伝わっていないでしょうし、社員も完全に理解しているとは思えません。以前に当ブログでとりあげたように間もなくメトロと都営の乗換駅が追加設定になります。

http://rail-to-utopia.net/2018/02/73/

新しい路線図では地下鉄同士の乗換駅については「地上乗換え」という記載が追加されましたが、御茶ノ水や両国など距離の離れたJR線との乗換駅については特に配慮はありません。一方で上野御徒町と御徒町、馬喰町と東日本橋は点線で結ばれているなど、利用者が一見しただけではよく分からないルールが多数あるのです(ちなみに都営の路線図では両駅とも実線で結ばれています)。

現在の地理的な関係に比較的忠実な路線図は、営団からメトロに切り替わるタイミングで作られたものなので、15年近く使っているものになります。副都心線の開業だけでなく、明治神宮前や二重橋前への副駅名の付与、乗換駅の追加など、当時想定していた以上のネットワーク性の強化が進んでいますから、そろそろ新しい路線図へ切り替えていく時期のようにも思います。