5月20日のラストラン記念ツアーを以て東武1800系が引退しました。
といっても1800系を改造した300系車両はまだ現役ですし、引退するのは他の編成とはずいぶん年の離れた末っ子なので色々しっくりこないのですが、何にせよ一時代を築いた名車に幕が下りることになります。
2018/5/20
臨5386レ 1800系1819F
ありがとう1800系ラストラン記念ツアー @鐘ヶ淵1度ここで納められて何よりです😁 pic.twitter.com/mb1Atkqmvn
— かな鉄 (@kananEF81) 2018年5月20日
2018/5/20 東武1800系(1819F) ありがとう1800系 ラストラン記念ツアー団体専用列車 曳舟~とうきょうスカイツリー
久里浜公開からのハシゴだったので一発だけ。
HMを強調したかったので望遠圧縮のカーブで撮れて満足。 pic.twitter.com/QYo4JndGiV— shinkyu (@shinkyu_rail) 2018年5月20日
1800系は1969年に東武伊勢崎線のビジネス列車「急行りょうもう号」用車両としてデビューすると、1979年までに8編成48両が製造され、1987年に増備用として1編成6両が追加されています。今回引退したのは、最後に増備された車歴の浅い1819編成で、りょうもう号からの引退後は団体・臨時用車両として用いられていました。

りょうもう号には1991年から新型車両200系の導入が始まり、1998年までに1800系車両は9編成全てが置き換えられました。日光線系統の特急スペーシアと遜色ない設備の新型車両が導入されたことで、りょうもう号は翌1999年3月のダイヤ改正で急行から特急に格上げされます。つまり、今年度末で特急りょうもう号は20周年を迎えることになります。
20年で大きく増えた停車駅
先日自宅から1999年3月ダイヤ改正のパンフレットを発掘したので、この20年を振り返りながらりょうもう号の変化を振り返ってみたいと思います。


このダイヤ改正では、りょうもう号に関して以下の事項が改定されました。
- りょうもう号を急行から特急に格上げ
- スピードアップ(浅草・赤城を最大18分短縮)
- 新たに伊勢崎駅までの直通運転を開始
- 加須・羽生駅に停車する列車を大幅に増加
- 特急料金改定(30㎞まで500円を新設)
そのためにはまず前史として、東武の優等列車にとって大きな転換点となった1997年のダイヤ改正について触れておかねばなりません。
1996年に完成した東武北千住駅の大改良工事によって下り特急専用ホームが設置されると、1997年3月から日光線特急、伊勢崎線急行の全列車が北千住駅に停車するようになりました。また定期券による優等列車乗車が解禁され、これまで浅草と目的地の直行を中心とした運行だったのが、北千住を中心とする運行体系にシフトしたのです。
これ以降、東武特急特にりょうもう号は停車駅の増加と、特急料金の値下げを進めていくことになります。

りょうもうの停車駅(赤は1999年以降停車開始、オレンジは停車本数増)※ただし春日部はリバティりょうもうのみ停車
- 1999年3月 加須・羽生駅に停車本数増(下り4本→13本、上り6本→12本)
- 2003年3月 東武動物公園駅に全列車停車
- 2006年3月 久喜駅に停車開始(下り13本、上り11本)
- 2017年4月 久喜駅・とうきょうスカイツリー駅に全列車停車
1999年3月までは北千住を出発すると約60㎞離れた館林までノンストップの列車が大半でしたが、以降は北千住から約30㎞の東武動物公園から館林まで概ね7~8㎞間隔で停車駅が設定されていき、埼玉県内の通勤利用者を囲い込む戦略に切り替えられていきました。
1999年3月改正以前 | 1999年3月改定 | 現在 | ||||
キロ程 | 料金 | キロ程 | 料金 | キロ程 | 通常料金 | 午後割・夜割 |
~60㎞ | 800円 | ~30㎞ | 500円 | ~40㎞ | 510円 | 310円 |
31~61㎞ | 850円 | 41~60㎞ | 770円 | 510円 | ||
61~120㎞ | 1070円 | 61~120㎞ | 1140円 | 61~120㎞ | 1030円 | 820円 |
現在は40㎞で料金が区切りとなっていますが、これは北千住・東武動物公園間で30㎞超えてしまうのと、北千住・久喜でギリギリ41㎞に満たないことから、戦略的な料金設定のために2003年に変更されたものです。
後継200系もそろそろ世代交代?
ようやく1800系車両が引退したわけですが、早くも後継車両にもタイムリミットが迫っています。1991年から導入された200系車両ですが、実は完全な新車ではありません。
車体こそ新製されたものですが、台車や走行機器はかつての日光線用特急車両1700系・1720系から流用されており、一番古いものでは製造から60年以上が経過している前時代の代物です。

21世紀とは思えない古めかしい台車 Photo by Tennen-Gas(BY CC 3.0)
昨年から新型特急車両500系リバティの導入が始まっており、200系車両についても500系の増備あるいは新形式の登場によって車両更新が進んでいくと見られています。

6両編成をまるごと葛生、赤城に直通させるほどの需要はもうないでしょうし、リバティの分割機能を活用した多層建て列車として運行するようになるかもしれません。実際、昨年のダイヤ改正から日光線方面特急と併結した「リバティりょうもう号」の運行も始まっています。
東武鉄道は中期経営計画でスペーシア後継車両の導入を発表しており、またしても廃車品を流用して新型特急が作られるのか、ちゃんと新型車両が導入されるのか、東武特急の動向からしばらく目が離せません。