覚悟はいいか? 灼熱と混雑が支配する地獄のオリンピックまであと2年だ!

運転

どうしましょう。2年の今日から東京オリンピックが始まってしまいます。

記録的な酷暑が続き、大会期間中の選手・観客の熱中症が心配されていますが、2年後の夏が酷暑かどうかは分からないとしても、ひとつだけ確かなことがあります。暑くても暑くなくても大量の人が都心に押し寄せるということです。

暑さ対策と同じかそれ以上に、大会期間中の都心の交通機関の混雑が懸念されています。

東京オリンピック公式サイトによると、大会期間中の観客は780万人と想定されています。

輸送サービスを利用される方

競技に参加する選手や世界中の国や地域から観戦に訪れる観客はもちろんのこと、競技を支える国際競技連盟(IF)や放送・報道機関を含めたメディアなど東京2020大会に携わる多くの関係者に対して東京2020組織委員会は輸送サービスを提供します。例えば、選手・競技役員などは東京2020オリンピック競技大会では約1万8千人、東京2020パラリンピック競技大会では約8千人、観客は東京2020オリンピック競技大会では約780万人、東京2020パラリンピック競技大会では約230万人と想定されています。

オリンピック・パラリンピックの輸送サービスについて

そしてその観客の輸送は鉄道など公共交通機関によって行うとされています。

観客の輸送

東京2020組織委員会は、観客の輸送について、鉄道をはじめとする高密度かつ信頼性の高い東京の交通網を最大限に生かすことを想定しています。

東京2020大会の輸送サービスに関する検討状況について

組織委員会の試算では、大会期間中の鉄道利用者は通常より10%ほど増加するとみられており、その分通常の利用者を10%減らす「公共交通輸送マネジメント」が必要だとされていますが、連日の酷暑の中有無を言わさず通勤させられている皆さんは、そんなことは机上の空論だとよく分かっていることと思います。

オリンピックは7月24日の開会式から8月9日の閉会式まで2週間強続きます。マラソン、サッカー、野球、ゴルフ、バスケなど人気競技の決勝戦などは土日にあてられていますが、史上最多の33競技・339種目をこなしていくために、当然平日にも多くの試合が開催されることになります。

オリンピック競技スケジュールで、ウサちゃんマークのようなもの(メダルのマークだと思いますが)が付いているのが、決勝が行われメダルが決定する日です。種目が多い競技はほぼ連日のように決勝があり、思っている以上に平日にも多く行われることが分かります。

多くの観客を動員する人気競技の決勝戦、それが平日に開催されれば、観客の移動と朝夕の通勤ラッシュが重なって激しい混雑が生じることは容易に想像がつきます。7月17日に発表された詳細な競技スケジュールをふまえて、特に通勤客とのバッティングが懸念される都心の競技会場の状況を見てみましょう。

新国立競技場周辺

まずメインスタジアムとなる新国立競技場と、その隣にある東京体育館、そして少し離れたところに代々木競技場があるエリアです。会場の最寄り路線はJR中央緩行線、都営大江戸線、銀座線です。

まず平日朝の競技を見てみましょう。グレーの網掛け部分は予選だけが行われる日です。

オリンピックを代表する花形競技である陸上と、昨今の躍進でメダルが期待されている卓球、そしてハンドボールといった人気競技が朝早くから行われるため、通勤・通学のラッシュ(8時半ごろ)に丁度被るように、多くの観客がスタジアムに集まってきます。

陸上競技が始まる7月31日以降は、新宿駅などで激しい混雑が予想されます。

朝の通勤ラッシュだけではありません。帰宅ラッシュ時間帯にも、夜の競技を見ようと多くの観客が集まってきます。陸上競技は夜に決勝が行われるでしょうから、相当数の観客が予想されます。

卓球とハンドボールは昼の観客の退場と、夜の観客の来場が帰宅ラッシュの前後を挟み込むように発生するため、夕方から深夜まで長時間混雑が続く可能性もあります。

日本武道館周辺

都心の競技場は多くないのですが、開催日程が多く、人出が見込まれるのが日本武道館です。

新国立競技場は最寄り駅が3か所あるので利用者はある程度分散されますが、日本武道館の最寄駅は九段下だけで、通常のコンサートや入学式、卒業式の際は駅構内が非常に混雑することで知られています。

ここで開催されるのは日本のお家芸柔道と、今回から新しく加わった空手です。どちらもメダルが期待されますし、競技人口、ファン人口も多いので連日満員になることが予想されます。

スケジュールを見てみると、見事に朝晩に被っています。8月6日、7日を除いて朝は10時30分開始なので、朝ラッシュに直撃というわけではありませんが、周辺ターミナル駅の混雑への影響があるかもしれません。

ラッシュへの影響が心配されるのは夜の方で、通常のコンサートなどよりもかなり早い時間帯に終了するため、観客が一斉に都心方面に移動すると日本一の混雑路線である東西線への影響が懸念されます。

有明周辺

その他の競技会場はほとんどがお台場周辺に固められています。このエリアの鉄道はりんかい線とゆりかもめしかなく、会場に向かう観客はりんかい線に直通するJR埼京線か、ゆりかもめとりんかい線に乗り換えできる地下鉄有楽町線に集中すると考えられます。

特に有明には、テニスが行われる有明テニスの森、体操競技が行われる有明体操競技場、バレーボールが行われる有明アリーナが集まっており、いずれも観客収容人数が多く、また人気のあるスポーツなので連日多くの観客が押し寄せることでしょう。大崎駅や豊洲駅に乗換客が集中し滞留が生じることで、りんかい線・埼京線や有楽町線の運行に影響が出る可能性もあります。

結論

電車が遅れたり、止まったりした時のことを考えれば想像できると思いますが、鉄道施設はピークギリギリに作られており、利用者の1割増は、混雑の1割増では済みません。しかも普段の通勤利用者は大体同じ方向に向かって移動していますが、オリンピックの観客は通常の通勤客とは全く違う方向に移動するため、駅の動線が破綻する可能性があります。最悪の場合、鉄道機能が一気に、そして完全にマヒすることも考えられます。

大会期間中はなるべく関係するエリア、路線には近づかないようにしましょう。もし休暇がとれるホワイトな環境にいる方であれば、迷わず東京から離れた方がいいでしょう。