東京メトロのポイントサービスがカオスな件―メトロポイントに加えてメトロポイントクラブ誕生

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3月1日に東京メトロが新たなポイントサービスを開始すると発表しました。

東京メトロでは、当社線をご利用のお客様がもっと楽しく便利にご利用いただけるよう、3月24日(土)から、お手持ちのPASMOで当社線にご乗車いただくと、PASMOにチャージし、運賃や電子マネーとして活用いただけるポイントを獲得できるサービス「メトロポイントクラブ」を開始いたします。

出典:東京メトロニュースリリース(2018年3月1日)

ん? メトロでポイントって、前からやってなかったっけ? と気づいた方は鋭いです。

東京メトロは自社クレジットカード「TokyoMetro To Me CARD」の会員向けに、鉄道利用やショッピング利用でポイントが貯まる「メトロポイント」を導入しています。

東京メトロ To Me CARD
 
東京メトロ To Me CARD
東京メトロが発行している「To Me CARD」の公式サイトです。提携サービスやメトロポイント、オートチャージサービス、SF乗車...

新しくサービスが始まるメトロポイントクラブはTo Me CARDを持っていない人でも登録できる無料サービスのようです。ではメトロポイントはメトロポイントクラブに統合されるのか? というと、そういうわけではなくメトロポイントとメトロポイントクラブは別のシステムとして共存するようです。

これまでのメトロポイントはTo Me CARD会員様限定で当社線のご乗車や電子マネーのご利用等に応じてポイントが貯まるサービスでしたが、このたび、To Me CARD会員様でなくとも、事前に登録した記名・無記名PASMOのチャージ金額を利用して当社線をご乗車いただくと、ご乗車日数に応じた「通常ポイント(デイリーポイント・ホリデーポイント)」、1か月あたりのご乗車回数に応じた「ボーナスポイント」を獲得いただけるサービスを開始いたします。

でもこのニュースリリースの書きっぷりではメトロポイントを非会員向けにも開放するかのように読めますよね。このあとサービスの説明でも「さらにTo Me CARD会員様は「メトロポイントPlus」と併用することでより多くのポイントを獲得することが可能となります」という文言も出てきて、たぶん普通の人は「カードを持っていなくても入会できるメトロポイントクラブが新設され、これまでのカード会員向けのメトロポイントはその二階建て部分になるのだろう」と思うはずです。でも違うんです。

東京メトロのポイントサービスがカオスなことになっているのです。とりあえずまとめると以下のような関係になります。

メトロポイントとは
・メトロポイントはTo Me CARD保有者を対象としたポイントシステムである
・メトロポイントにはPASMOを事前登録することで乗車ごとにポイントが貯まるメトロポイントPlusがある

メトロポイントクラブとは
・メトロポイントと別に誰でも登録できるメトロポイントクラブが新しく誕生する
・メトロポイントクラブはメトロポイントPlusと同じように乗車に対してポイントが付与される
・メトロポイントクラブに参加するためにはPASMOの事前登録が必要

メトロポイントとメトロポイントクラブの違いとは
・メトロポイントPlusとメトロポイントクラブは同時に貯められるがポイント付与基準が異なる
・メトロポイントのポイントとメトロポイントクラブのポイントは合算できない
・メトロポイントとメトロポイントクラブのポイントはどちらも1P1円相当として使える

 

ちょっとセンスがないなあと思うのは「メトロポイントクラブ」という名称では、「メトロポイント」を検索したい人まで引っかかってしまうわけです。元々メトロポイントはカードの種類によってポイント還元率が異なる複雑なシステムなのに、更に付与ルールの異なる、似た名称のポイントができるとなると、説明する駅員さんは本当に大変だと思います。

JR東日本は2016年から、アトレなど駅ビルごとに異なっていたポイントカードと「Suicaポイント」「ビューサンクスポイント」など各種ポイントシステムを整理統合した「JREポイント」への移行を進めています。

東京メトロもいずれはこうしたポイントシステムを整理統合していくのかもしれませんし、乗車に対して付与されるメトロポイント・メトロポイントクラブと、買い物に対するポイント付与が中心のJREポイントは単純比較しにくい部分もあるとはいえ、時代の流れに逆行する取り組みのように見えてしまいます。

ただし、クレジットカード会員限定の囲い込みポイントサービスではなく、利用者に広く開かれたポイントサービスが普及していくと、鉄道の運賃制度にも変化が生じてくるかもしれません。そんなお話を、また次回に。

(後編はこちら)

乗車ポイントサービスは鉄道の運賃制度を分かりやすく変えるだろうか