特急を中心とした博物館を作れるのは小田急だけ!「ロマンスカーミュージアム」に期待したい

東京都市交通博物館

小田急が2021年春に神奈川県海老名市に「ロマンスカーミュージアム」を開業すると発表しました。

小田急の歴史を彩ってきた花形特急車両の3000形「SE」、3100形「NSE」、7000形「LSE」、10000形「HiSE」、20000形「RSE」を展示するそうです。エントランスのイメージ図を見ると、70000形「GSE」のモックアップも展示されるようですね。小田急としては初めてとなる鉄道博物館であり、複々線化工事が完了し新しい時代を迎える同社にとって大きな意味を持つ施設となりそうです。

さて関東近辺の鉄道博物館といえばJR東日本の運営する「てっぱく」が何よりも有名ですが、私鉄の鉄道博物館もいくつかありますのでご紹介いたします。

京王れーるランド

京王電鉄の企業博物館「京王れーるランド」には歴代の通勤電車5両が展示されており、館内には運転シミュレーター、車掌体験、電車の仕組みが学べる展示やキッズコーナーの他、京王バスの実写も展示されています。

電車とバスの博物館

東急の企業博物館は「電車とバスの博物館」の名前の通り、東急電車、東急バス、旧玉川線の路面電車から日本エアシステム時代の飛行機まで、東急を構成するすべてが詰まった施設です。

東武博物館

 

現存する関東最古の私鉄である東武鉄道の「東武博物館」は、開業当時の蒸気機関車や貨物用の電気機関車など、120年の歴史を反映した様々な車両が展示された本格的な鉄道博物館です。

特に東武を象徴する日光特急については、戦後初の特急型車両5700系と、1720系DRC(デラックスロマンスカー)が展示されています。

特急に特化したロマンスカーミュージアムへの期待

そう考えてみると、実は「有料特急」を展示している私鉄の博物館って意外と少ないのです。専用車両で有料特急列車を運行している大手私鉄は、関東では東武、小田急、西武、京成、関西・中京では近鉄、南海、名鉄の合計7社ですが、そのうち企業博物館を持っているのは東武だけなんですね。

西武が初代レッドアロー、京成が初代と二代目のスカイライナーを車庫内に保存しており、車両基地公開イベントなどでお披露目されることはありますが、常設的な一般公開はされていません。

Photo by Rsa / CC BY 3.0

Photo by PekePON / CC BY 3.0

そういう意味でも、特急車両を中心とした博物館、しかも5種類もの車両を展示するという小田急の試みは、私鉄では例のないものだと言えるでしょう。

定期的に新型特急車両を投入し続けているのは、小田急を除けば営業エリアの広い近鉄、東武くらいのもので、そもそも歴代全ての車両を足しても5に満たない会社がたくさんあります。近鉄は原則として車両の保存をしませんし、東武も1720系DRCはカットボディーの展示ですから、小田急のロマンスカーにかける思いがいかに大きいかということが分かります。

単に車両を並べるだけでなく、箱根特急誕生からSEの誕生、速度記録への挑戦、ブランドの育成と試行錯誤、そして新宿・小田原1時間切りまでの全てのストーリーを語りつくす施設となることを期待します。私鉄唯一の特急を主役とした鉄道博物館の開業まであと3年、首を長くして楽しみにしていましょう!