そろそろ都営地下鉄の車両の保存を検討してくれまいか

[1974-1994]国鉄の破綻と再生

Twitterでnojiさんが公開した都営浅草線5000形車両の写真が話題になっています。

というのも、これは浅草線の歴代車両で保存されている唯一の車両なのですが、同時に東京消防学校の地下鉄訓練室に設置された教材でもあるため、ほとんど一般公開されることがない存在だからです(2014年に同校の開校100周年記念イベントで一般公開をしたくらい)。

残念なことに東京都交通局は浅草線に限らず歴代の地下鉄車両を保存していないのですが、外部で保存(再利用)されている車両はいくつかあります。

三田線車両

都営三田線で使われていた6000形車両が秩父鉄道に売却されて秩父鉄道5000系として運行されているほか、立川防災基地で訓練用教材として使われてる車両が、年に1度の「立川消防フェス」で一般公開されます。

こちらも浅草線5000形車両と同様に全長が短縮されており、映画だかドラマの撮影に使用された際にマークと行先が変えられたままとなっているのが残念ですね。その他、千葉県いすみ市にある「ポッポの丘」佐倉市にある「佐倉草ぶえの丘」に中間車が2両保存されてます。

※誤りをご指摘いただいたので修正いたしました(2018/10/18)

大江戸線車両

都営大江戸線は放射部が1991年から順次開業した後、2000年に放射部が全通した新しい路線です。全線開通から20年経過していない路線なのでまだ「旧型車両」は存在していないのですが、12号線(大江戸線)の建設にあたってリニアモーターカー方式を導入できるか検証するために浅草線馬込基地内で走行試験を行っており、その時に使われた試作車両が豊島区の千早フラワー公園に保存されています。

公園には2編成が並んで保存されています。一応屋根が付けられており、汚れは目立つものの外観は原形を保っています。車内は倉庫や会議室として使われているようです。

この車両による試験の結果、12号線はリニアモーターカー方式での建設を決定し、以降のリニア式ミニ地下鉄の礎となりました。日本鉄道史上においても大きな意義のある車両です。

新宿線車両

https://i1.wp.com/upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a8/Toei_Subway_10-000_series_6th-batch_set_20170529.jpg/1024px-Toei_Subway_10-000_series_6th-batch_set_20170529.jpg?resize=450%2C300&ssl=1

PHOTO by Cfktj1596 / CC BY 4.0

2006年から新宿線に新型車両10-300形が導入され、2017年に全ての車両が新型車両に置き換えられました。しかし、退役した10-000形車両は全て解体され、保存されていません。

都営地下鉄の歴史をどうするか

東京都交通局は都電の車両を荒川区の「おもいで広場」などで一部保存していますが、地下鉄の車両については手つかずの状態です。浅草線5000形にしても、三田線6000形にしても、新宿線10-000形にしても、基本的には同時代の営団地下鉄車両の焼き直しのような車両で、技術的史上特筆すべき点が少ないことも要因かもしれません。一方、地下鉄の先駆者を自認する東京メトロは、銀座線1000形、丸ノ内線300形を保存展示する地下鉄博物館を建設した他、日比谷線3000系や千代田線6000系ハイフン車、さらにはアルゼンチンに譲渡した車両を買い戻すなど歴史的車両の保存を進めています。

都営地下鉄の歴史は東京メトロから40年弱遅れているとしても、既に開業から50年以上が経過して、浅草線の車両はついに3代目が登場しました。既に歴史的な位置づけとなって行く中で、今後どのように記録を残していくか、いよいよ待ったなしで問われてくるわけです。できればメトロと都交が協力して東京の都市交通全てを取り扱う博物館を作っていくような方向を望みたいのですが、はたしてどうなるのでしょうか。