日本最古の自動改札機のレプリカは「聖蹟ターンスタイル」だった!

[1927-1936]都市交通の立体化

先日、上野駅に展示されている日本初の自動改札機「ターンスタイル」について紹介しました。

90年前の銀座線で使われていた日本最古の”自動改札機”は「子ども無料」だった!

ターンスタイルは上野駅の他、葛西の地下鉄博物館でも展示されており、こちらは実際に動かすことができます。

ただし先日も書いたように、これらはレプリカ(復元品)で当時使われていたものではありません。これは1977年の地下鉄開業50周年記念のイベントのために作られたものなのです。

昨年も開催された「地下鉄走って○○年」の周年行事は、50周年から大々的に行われるようになったイベントです。半世紀という大きな節目を記念して様々な行事が行われましたが、そのフィナーレを飾ったのが日本橋三越の7階特設会場で行われた「地下鉄50年展」でした。

50周年記念事業についてまとめた営団発行の冊子によると、「大盛況だった地下鉄50年展」と題して次のように記されています。

初日、荒木総裁の手でテープカットされてオープンした「地下鉄50年展」は地下鉄五○年の歩みと将来、そして地下鉄の仕組みが居ながらにして楽しく理解できるような東京の町と歴史のコーナー、地下鉄博物館、営団職員の制作による走る模型電車、模擬運転台、大手町駅の立体模型、世界の地下鉄パネルなど地下鉄に関するあらゆるものをいろいろとりそろえて展示したもので、暮の多忙期にもかかわらずチビッ子や鉄道マニアから御用納め帰りの人などが多数つめかけ大盛況。

出典:東京地下鉄開通50年の記録(帝都高速度交通営団)

時代を反映したゲストも登場しています!

「地下鉄の電車はどこから入れたの? それを考えてると一晩中寝られないの」でおなじみの地下鉄漫才で一世を風靡した三球・照代が会場を訪れ、営団総裁にインタビュー。また会場では電車のロングシートに座りながら、地下鉄漫才のテープを聴けるコーナーまで用意されていました。

今もマニアイベントの定番であり目玉でもある「車両部品即売会」も、29日・30日にデパート屋上で行われました。早朝からマニアが長蛇の列を作り、開店から1時間ほどで全品完売となったそうです。

そして、再現されたターンスタイル。この写真のキャプションには「山田副総裁もターンスタイルでチャリテイーに協力」とあるので、おそらく投入したコインをどこかに寄付する形のイベントとして行われたようです。

そして、この地下鉄50年展には、もう一人大物ゲストが登場しています。当時小学校6年生だった礼宮文仁親王、今の秋篠宮です。大人になってからはあまり聞きませんが、この時は「鉄道に興味をお持ち」だったそうで、興味深げに会場を見て回り、模擬運転(運転シミュレーター)を実際に行ったりしたとのこと。

そして、ちょっと楽しそうにターンスタイルを回す写真も残っているんです。

ここに映る2台のターンスタイルが、今展示されている2台の「復元品」と思われます。どちらが地下鉄博物館のもので、どちらが上野駅のものかは分かりませんが、これはもう「聖蹟ターンスタイル」として売り出すしかありませんね!

もちろん地下鉄漫才も楽しんでいかれたそうで(隣は営団総裁)。なんともシュールな絵面です。

さて、10年後の地下鉄開業100周年記念行事はいったいどうなることやら。